Web系エンジニアとは?-Webアプリケーションのスペシャリスト

IT職種の中でも比較的新しい分類に入るWeb系エンジニア。漠然とWebの仕事をするのだろうとイメージしている人は多いですが、実際は何をしているのか説明できない人も少なくありません。Web系エンジニアはエンジニアとついていますが、プログラマーに近い役割です。

ここではWebサービスの拡大やスマホ・タブレットの普及で需要の高まったWeb系エンジニアについて、仕事内容やスキル、必要な資格などを見ていきます。

Web系エンジニアとは?

Web系エンジニアはWebサイトのシステムや、Webベースのアプリケーションを制作するエンジニアです。プログラマーの中でもWeb系に特化しているスペシャリストを指します。プログラムにはOS、ミドルウェア、アプリケーション、ゲームと種類がありますが、この中でもWeb系エンジニアが作成するのはWebやスマホなどで動くアプリケーションとゲームです。

Web系エンジニアの役割

一般的なプログラマーに比べ、Web系エンジニアの役割はやや範囲が広めです。Webアプリケーションは個人や少人数で開発することが多いため、一人ひとりが受け持つ業務量が多くなるからです。

顧客から依頼されて作成するWebアプリケーション開発の場合、大まかに以下の工程に分けられます。

・ヒアリング
・デザインの確認
・基本設計
・詳細設計
・プログラミング
・テスト

実際はそれぞれの作業が明確に分かれていることは少なく、個人の作業範囲も明確でないことがほとんどです。プロジェクト全体を管理できる能力も必要とされることから、システムエンジニア的な面もあると言えます。アプリを自社開発する場合、ヒアリングの代わりに企画提案が含まれることもあります。

Web系エンジニアが作成するアプリケーション

・Webサイトで動くアプリケーション

すぐに思いつくWeb系エンジニアが作るWebサイトで動くアプリケーションで身近な例はショッピングカートシステムです。ショッピングサイトで商品を見ながらクリックひとつで商品をカートに入れ、最終的に会計まで進むカートシステム。表から見えているのは普通のWebサイトと同じですがボタンの1つ1つにプログラムが埋め込んであります。ショッピングサイトで言えば、お問合せフォームも代表的なWebアプリケーションの1つです。

普段何気なく使っているインスタグラムやFacebook、YouTube、ツイッターなどのSNSも単なるWebサイトではなくアプリケーションの上で動いています。今やほとんどのWebサービスはプログラム埋め込まれているのが当たり前といっても言い過ぎではないかもしれません。Webサイトで動くアプリケーションは、利用している人がアプリケーションを触っているという感覚があまりないのが特徴です。

・スマホやタブレットのアプリ

Web系エンジニアが関わるアプリケーションのもう1つの代表はスマホやタブレットのアプリです。すべてタッチパネルで操作するためコンピュータという認識がない人もいますが、スマホもタブレットもパソコンとは異なるOS(オペレーションシステム)を利用したコンピュータ。アプリの1つ1つがWeb系エンジニアの作成したプログラムです。

パソコンで動くソフトウェアも基本的な概念は同じですが、スマホやタブレットの上で動くアプリはWebベースのテクノロジーを利用しています。このため使用するプログラミング言語や開発工程も通常のプログラミングとは異なる場合がほとんどです。

ゲームアプリ

Web系エンジニアが作成するアプリには、ゲームも含まれます。ゲーム機で動くものではなく、Webやスマホ・タブレットで動くゲームです。ゲーム会社が家庭用ゲーム機で動いていたものを移行するような大掛かりなものもありますが、一般的にWeb系エンジニアが担当するゲームは、スマホ専用のゲームが中心になります。

主なプログラミング言語やツール

Web系エンジニアが作成するアプリはWebを介することを前提としているため、使用するプログラミング言語もやや偏りが見られます。ここではWeb系エンジニアが覚えておきたいプログラミング言語を紹介します。

・HTML、CSS

HTMLとCSSはWebの表側を作るために必要になります。HTMLで文章構造を、CSSでデザインを組み立てるため、通常はセットで利用します。特別な開発環境も必要とせず、少し勉強すれば簡単に習得できるためHTMLとCSSは必要最低限の言語

大手企業のWebサイトなどではWebデザイナーがデザインをし、WebエンジニアがHTMLとCSSに置き換えた後、各種プログラムを埋め込むこともありますが、スマホアプリなど高度なデザインを必要としない場合はデザインもWeb系エンジニアの仕事の一部になります。

・PHP

PHPはHTMLに埋め込んで使用できることから、Webアプリケーションでよく利用される代表的なプログラム言語の1つです。PHPはサーバーサイドで動くプログラム言語のため、サーバーにPHPをインストールする必要がありますが、始めからインストールされたレンタルサーバーも多く手軽に利用できることもメリットの1つです。

・Java Script

Java ScriptもWebアプリケーションで利用されることの多いプログラム言語です。PHPと同じようにHTMLの中に埋め込んで使用できます。HTMLやCSSと同じように特別な開発環境を必要としないのが特徴。動的なWebサイト作成の基本でもあるため習得しておきたいプログラム言語です。

・Ruby

日本人のまつもとゆきひろ氏が開発したオブジェクト指向スプリクト言語で、Web系アプリの開発でよく利用されます。スクリプト言語なのでわかりやすく習得しやすいこと、Ruby on Railsを使うことで効率よく開発ができることから利用が広がっています。基本的なWebサイトの制作からショッピングサイト、SNS、スマホアプリ、AIの開発まで幅広く利用できるため、Web系エンジニアを目指すのであれば是非覚えておきたいプログラム言語です。

・Java

プログラム言語の代表とも言えるJavaは通常のプログラマーだけでなく、Web系エンジニアを目指す人も習得しておきたい言語です。Javaはデスクトップで動くアプリ、Webアプリやサービスだけでなく、スマホアプリの開発にも利用されています。特にスマホでもAndroid用アプリの多くはJavaで作られているため、アプリ開発をしたい人には必須です。

Web系エンジニアに必要なスキルや資格

Web系エンジニアに求められるスキルや、持っていると良い資格はあるのでしょうか。ここではスキルと資格をそれぞれ見ていきます。

Web系エンジニアに必要なスキル

Web系エンジニアの役割でも書いたとおり、Web系エンジニアの仕事範囲は多岐に渡ります。ヒアリングから開発、リリースまでマルチタスクをこなせる器用さと柔軟性は持っておきたい能力の1つです。また顧客を含め外部と接することも多いためコミュニケーション能力が高いことも求められます。

Web系はトレンドが早いため、常に情報をキャッチしようとする姿勢があることが望まれます。デザイン、技術、アプリの趣向だけでなく、セキュリティに対しての意識も必要です。

また、どのIT職種にも言えることですが、新しい言語の習得に励んだり、他のプログラムの研究をしたりと自主的に学ぶことができる人はWeb系エンジニアに向いています。

Web系エンジニアに必要な資格

ハードウェア系のエンジニアに比べ、資格よりも実績や経験が重視されるWeb系エンジニアには求められる資格はあまりありません。Web系エンジニアになりたい人は資格の勉強よりも実際に手を動かすことが必要です。

未経験者がWeb系エンジニアになりたい場合、1からプログラムが書けることよりも、書かれたプログラムの意味が理解できるか、カスタマイズができるかが重要になります。HTMLやCSS、Java Scriptはパソコンがあればすぐに実践ができますし、レンタルサーバーを利用すればPHPやRubyも試すことができます。

Web系エンジニアの実績がない人はプロモーション用のWebサイトを自分で作成することによって、何ができるか、どんなセンスがあるかを示すのがよいでしょう。アプリは開発環境を用意するのが大変ですが、iPhoneアプリにかかわりたいのであれば最低限Macが使いこなせなければスタートラインに立てません。AndroidアプリであればJavaをスクールで学んでおけば、他の未経験者よりも優位に立てます。

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